仲のよかった家族でも、相続争いをすることはよくあります。それほど財産がなくても、身内同士の「争続」など誰も望んではいないにもかかわらず、実際に相続争いは残念ながら起こっています。

 遺言を残さないと「争続」に発展するケースというのは、具体的には、以下のような場合が考えられます。

 (1)資産家である場合

 (2)疎遠な相続人がいる場合

 (3)子供がおらず、相続人が配偶者と実親、兄弟姉妹になる場合

 (4)唯一の遺産が不動産の場合

 (5)事業を継ぐ相続人に事業用の財産をすべて相続させたい場合

 (6)内縁関係である事実上の妻・夫に財産を残したい場合

 (7)障害のある子供の将来に不安がある場合

 

  遺言を残しておくことは、「争続」を避け、残された家族を守るためにも必要です。ご自身の最後の言葉として遺言を作成しましょう。

 

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【自筆証書遺言】

 自筆証書遺言は、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに押印することによって成立します。

 

(1)自書
 自筆証書遺言は、その名のとおり、遺言者自らが書かなければなりません。
 他人に代書させたり遺言者の口述した内容を他人が筆記したものは、その内容の正確性いかんに関わらず無効ですし、タイプライターやワープロで打ったりテープに吹き込んだものも無効です。
 遺言者が他人の補助を受けて書いた遺言書についても、原則として無効となります。

 

(2)全文の自書
 全文とは、遺言者の実質的内容である遺言事項を書き記した部分で、いいかえれば本文のことです。全文を他人が書いた場合は無効です。一部を自書し、他人が他の部分を書いた場合の遺言の効力については争いがありますので、とにかく全文を自書するべきです。

 

(3)日付の自書
 遺言者は、遺言書作成の日付を自書しなければなりません。
 日付は、年月日が特定されるものであれば、記載方法に制限はありません。西暦でも年号でも構いませんが、“吉日”のような表現では、日の特定ができないため、無効となります。
 日付の記載はあるものの、真実の遺言作成日と一致していない場合は、原則として無効と考えられています。
 日付記載の場所について特に制限はありませんが、日付が本文と同一の書面になされていない場合、たとえば日付が遺言書を封入した封筒に記載されている場合には、封筒と遺言書とが一体性を有するか否かがポイントになります。

 

(4)氏名の自書
 氏名は、戸籍上の氏名と同一である必要はなく、通称、雅号、ペンネーム、芸名などであっても遺言者と特定できれば有効です。
 また、氏と名ともに記載されるのが通常ですが、どちらかだけでも遺言者を特定できる場合には有効です。

 

(5)押印
 押印のない遺言書は無効です。ただし押印は実印による必要はなく、認印でも構いませんし、指印も有効と考えられています。
 遺言書が複数枚に渡る場合、割印があることが望ましいですが、法律上の要件ではないため、割印がなくても遺言は無効にはなりません。
 押印は遺言者本人によってなされるのが原則ですが、他人が遺言者の依頼により、その面前で押印した場合は有効と考えられます。

 

(6)加入、削除その他の変更
 遺言書に加入、削除その他の変更を加えたときは、遺言者がその場所を指示し、変更した旨を付記してこれに署名し、さらにその変更の場所に押印しなければなりません。
 一般に証書作成手続における加除変更の方式は、変更された場所に押印し、証書の欄外に訂正した旨を付記して押印して行われることがありますが、訂正の方式とは異なりますので、注意が必要です。

 

(7)遺言条項の特定
 遺言条項の記載があいまいで、遺言書の他の記載やその趣旨をもっても、遺言者の意思を客観的に確定できない場合、遺言条項としての効力は生じません。また、後の紛争を防止するためにも、遺言条項は可能な限り特定して行うべきでしょう。
 例えば、「自宅土地建物を孫に遺贈する」という遺言条項も、自宅建物が1箇所のみで孫が1人の場合は、特定の方法として有効といえますが、可能な限り遺言条項を特定するという観点からは、
 ・不動産については、登記簿の記載に従って、地番、地目や建物の種類、地積や床面積、構造を記載する
 ・預貯金は、金融機関名、支店名、口座の種類、口座番号を記載する

  ・株式は、発行会社名、株式の種類、株数を記載する
 ・債権は、債務者の住所、氏名ないし商号、債権発生の原因や日時、債権額、利息額、弁済期を記載する
 ・人物は、氏名、生年月日、住所地ないし本籍地、遺言者との続柄を
記載することが望ましいといえます。

 

(8)遺言の保管
 遺言を作成しても、その遺言書が相続人らに発見されなければ、法定相続が開始してしまい、遺言者の意思を実現することができません。また、相続人全員が遺産分割を行った後になって遺言書が発見された場合には、錯誤を理由に遺産分割が無効となる可能性もあります。
 一方、遺言書を容易に発見できる場所に保管した場合、利害関係人による偽造、変造の危険性が生じます。
 公正証書遺言は、遺言書の原本が公証人役場に保管されるため、偽造、変造、紛失のリスクが事実上ありません。また、保管のための手数料もかからないというメリットがあります。相続人側においても、被相続人の死後に、公証人役場で公正証書遺言の有無を検索することができます。
 しかし、自筆証書遺言、秘密証書遺言の遺言の場合、遺言者が自らの責任と費用で遺言書の原本を保管する必要があります。
 遺言書を遺言者の手元に保管する以外の方法としては、①貸金庫に保管する②信託会社等の遺言信託サービスを利用する③遺言執行者に保管を委託する、等の方法が考えられます。

 

(9)自筆証書遺言の筆跡が遺言者本人のものかどうか疑わしい場合
 自筆証書遺言は、遺言者の自書の要件を欠けば、遺言としての効力は生じません。
 よって、筆跡が疑わしいことを理由に遺言の効力を争いたいと考える場合には、遺言無効確認訴訟を提起することとなります。
 この裁判での争点は、遺言者が遺言書を自書したかどうかという点に集約されます。
 自書性の検証の方法としては、筆跡鑑定が中心となるほか、生前の遺言者の言動等から推認される遺言者の意思からして、遺言書に記載された内容が不自然でないかという点についても考慮されることがあります。
 筆跡鑑定の前提として、遺言者が自書を行った他の資料(日記や書簡等)が必要となりますので、これらの資料を収集しておく必要があります。

 

(10)遺言書の開封
 封印のある遺言書は、 家庭裁判所において、相続人又はその代理人の立会のもと開封する必要があります。
 この規定に反して、家庭裁判所外において遺言書を開封した者は5万円以下の過科に処せられます。
 なお、開封手続の有無は遺言の効力そのものには影響を与えません。
 家庭裁判所での開封手続の対象となる封印のある遺言書とは、 封に印が押捺されている遺言書をいいます。 単に封入された遺言書はこれに含まれません。
 秘密証書遺言は、封印することがその有効要件とされていますから、 常に開封手続を要します。 一方、公正証書遺言は常に開封手続を要しません。
 実務上は、 開封と検認とが同一手続で行われるのが一般的です。
 家庭裁判所は、提出された戸籍謄本によって相続人を確認した上、 検認、開封期日を定めて、 相続人ないしその代理人に検認、開封期日呼出状を送達します。
 なお、呼出状が送達されれば、期日に相続人の立会がなくとも、開封、検認手続は実施できます。

 

(11)遺言書の検認
 遺言書の保管者又は遺言書を発見した相続人は、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して、 その検認を請求しなければなりません。
 この規定に反して、家庭裁判所において遺言書の検認を行わなかった者は5万円以下の過科に処せられます。
 なお、検認手続の有無は遺言の効力そのものには影響を与えません。
 公正証書遺言以外の全ての遺言書が検認の対象となります。

 ***検認手続***
 ①検認の申立は、 相続開始地 (被相続人の住所地) の家庭裁判所に対して行います。
 ②家庭裁判所は、提出された戸籍謄本によって相続人を確認した上、 検認期日を定めて、 相続人ないしその代理人に検認期日呼出状を送達します。
 ③な
お、呼出状が送達されれば、期日に相続人の立会がなくとも、検認手続は実施できます。
 ④期日において、遺言書の方式及び遺言書の事実状態を調査した上で、検認調書を作成します。遺言書には、検認証明が付されることになります。

【公正証書遺言】

 公正証書による遺言は、証人二名以上の立会いがあること、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること、公証人がその遺言者が口述した内容を筆記して遺言者及び証人に読み聞かせること、遺言者及び証人が筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名、押印すること、公証人が適式な手続に従って作成されたものである旨を付記して証書に署名、押印することによって作成します。

 

(1)証人の立会
 2名以上の証人の立会が必要であり、証人は遺言の作成手続の最初から最後まで立ち会っている必要があります。
 ただし、未成年者(法定代理人の許可があっても)、推定相続人・受遺者及びその配偶者並びに直系血族、公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び雇人は、証人にはなれません。

 

(2)遺言の趣旨の口授
 遺言者は遺言の趣旨を公証人に口授しなければなりません。
 遺言の趣旨とは、遺言の内容の一字一句でなく、遺言の概要のことをいいます。
 外国語による口授の場合には、通訳を立ち会わせる必要があります。
 口がきけない方が遺言をする場合には、公証人及び証人の前で遺言の趣旨を通訳人の通訳により申述し、又は自書することで口授に代えることができます。

 

(3)口述内容の筆記
 実務上、遺言者が公証役場で話す内容をその場で公証人が筆記するという方法で遺言が作成されることはほとんどなく、予め原稿で遺言内容を証書に作っておき、遺言者にその要領を言わせて確かめる方法で作成されています。

 

(4)遺言者及び証人の署名、押印
 遺言者及び証人は、筆記の正確なことを承認した後、署名押印しなければなりません。
 実務上、遺言者については本人確認のために、印鑑証明書の提出が必要となり、実印で押印が必要です。一方、証人は実印で押印する必要はありません。
 遺言者が署名することができないときは、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができます。

 

(5)公正証書遺言を作成するにあたって準備しなければならない資料、書類
 ・遺言者の戸籍謄本、住民票の写し
 ・遺言者の印鑑証明書と実印
 ・証人の住民票の写し
 ・相続人、受遺者の戸籍謄本、住民票の写し
 ・遺言執行者の住民票の写し
 ・不動産登記簿謄本、固定資産評価証明書等
 ・遺言書の原案        等が必要となります。

 

(6)公正証書遺言の保管期間
 公正証書の原本の保管期間は、原則として20年間と規定されています。
 公正証書遺言の保管もこの規定に従うため、20年間は公証人役場にその原本が保管されます。
 保管期間が満了した後でも、特別の事由により保存の必要がある場合は、その事由のある間は保存しなければならないという規定が存在します。遺言は、遺言者の死亡時に効力を生じますから、公正証書遺言は遺言者の死亡時点まで保管しておく必要がある文書といえます。
 そのため、実務の対応としては、20年間経過後も公正証書遺言の原本を保管しているのが通常です。
 具体的な保管期間については、各公証人役場で取扱いが異なるため、若年者が遺言を行う場合には事前に確認しておくほうがよいでしょう。

 

(7)公正証書遺言を検索するシステム
 公正証書遺言は、作成後、正本及び謄本を遺言者に交付し、原本を公証人役場に保管します。
 被相続人が、遺言の存在や場所を相続人に知らせずに死亡した場合には、相続人は、被相続人の遺言の有無やその保管場所を調査する必要があります。
 公正証書遺言については、公証人役場での検索、照会システムが存在し、以下のような手順で被相続人の遺言の有無を照会することができます。
 なお、検索、照会はどこの公証人役場からでも依頼できます。

 ***照会手順***
 ①除籍謄本、戸籍謄本等、被相続人が死亡したこと、及び照会者が相続人であることを証明する資料の準備。
 ②これらの資料を公証人役場に持参して、遺言の検索、照会手続を行います。どこの公証人役場でもかまいません。
 ③手続後に、公証人が、被相続人の氏名や生年月日等の情報によって、公正証書遺言の有無、保管場所を照会。
 ④依頼を受けた日本公証人連合会事務局は、検索を行い、その結果を公証人に対して回答します。
 ⑤公証人から照会者に対し、公正証書遺言の有無とその保管場所(公証人役場)が伝えられます。
 ⑥相続人において、現実に保管されている公証人役場に対して遺言書の謄本交付手続を行います。

【秘密証書遺言】

 秘密証書遺言は、遺言者がその証書に署名押印すること、遺言者がその証書を封じ、証書に用いた印章でこれに封印すること、遺言者が公証人1人及び証人2人以上の面前で封書を提出して、それが自己の遺言書である旨並びに氏名及び住所を申述すること、公証人がその証書の提出された日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人とともに署名押印することにより作成します。

 

(1)遺言者の証書への署名押印
 署名は遺言者自らなすことを要し、他人が書いたものは無効です。
 押印については、実印である必要はなく、認印であっても差し支えありません。
 秘密証書遺言については、遺言者の署名押印以外に遺言書の作成手続についてなんら規定がないため、自書されたものである必要はなく、他人の書いたものやワープロ、タイプライター等の機械を用いて作成した遺言書であっても差し支えありません。

 

(2)遺言書の封入・封印
 遺言書の封入は遺言者自らがなすべきですが、遺言者がその面前で他人に命じて封入することも差し支えありません。
 封印には証書に用いた印章を使用しなければならず、異なる印章の場合は秘密証書遺言として無効となってしまいます。

 

(3)封書の提出・申述
 遺言者は、公証人1人及び証人2人以上の面前に封書を提出して、それが自己の遺言書である旨並びに氏名及び住所を申述しなければなりません。
 公証人及び証人は、遺言の内容を確認することまでは要求されていないため、公証人は、署名が遺言者自身によるものか否か等、要式の不備をチェックすることもできませんし、受遺者が証人となっている場合のように、証人の欠格事由をチェックすることも困難であるという問題が生じます。

 

(4)公証人の記載と公証人・遺言者・証人の署名・押印
 遺言者の署名は必ず自身でしなければなりません。
 公正証書遺言の場合のように、公証人がその事由を付記して署名に代えることは許されません。

 

(5)証人の資格
 秘密証書遺言においては、証人2人以上を要します。
 公正証書遺言と同様です。

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