①遺言の要式性
遺言は厳格な方式が要求されます。
原則この方式を守らない遺言は、効力を認められません。
例外として、無効行為の転換が認められることはあります。
方式違背の訂正・取消は、訂正・取消そのものが無効とされます。しかも、遺言全体に占める訂正条項の重要性から判断して、訂正条項の無効が遺言全体に重大な影響を及し、遺言の趣旨、目的を没却するような場合には、遺言全体が無効になると可能性もありますので注意が必要です。
②共同遺言の禁止。共同遺言にしても無効。
共同遺言とは、2人以上の者が、同一の証書(遺言書)で遺言を行うことを共同遺言といいます。
たとえ、遺言条項として完全に独立して、それぞれの遺言条項の作成者が明確に特定できる場合でも、複数人が同一の証書で遺言を行えば、共同遺言となります。
③遺言の方式には、普通方式と特別方式があります。
普通方式の遺言として、(1)自筆証書遺言、(2)公正証書遺言、(3)秘密証書遺言があります。
特別方式の遺言は遺言者に死亡が迫っている場合の遺言として、 (1)一般危急時遺言(民法976条)(2)難船危急時遺言(民法979条) 一般社会と隔絶した環境にある場合の遺言として、 (3)伝染病隔絶地遺言(民法977条)(4)船舶隔絶地遺言(民法978条) があります。また死亡の危急からの回復や、隔絶状態の終了によって、遺言者が普通方式の遺言を行うことが可能になった時から6ヶ月間生存するときは、特別方式の遺言の効力は失われます。そのため、同内容の遺言を実現するためには、改めて普通方式の遺言を行う必要があります。