遺産分割の方法には、遺言による分割、協議による分割、調停による分割、審判による分割の4種類があります。
①遺言による分割 被相続人は、遺言で分割の方法を定め、もしくはこれを定めることを第三者に委託することができます。
②協議による分割
裁判所が関与せずに、相続人全員の合意により遺産を分割する手続で、最も一般的な分割方法といえます。
相続人は、被相続人が遺言で分割を禁じた場合を除き、いつでも協議で遺産の分割をすることができます。
協議の成立には、相続人全員の合意が必要ですが、分割協議成立後に認知された子が現れた場合については、協議そのものをやり直す必要はなく、価額による支払請求が行われます。
相続人全員の合意がある限り、分割の内容は相続人の自由に任されており、指定相続分あるいは法定相続分に従う必要はありません。つまり、遺言と異なる遺産分割をすることも可能です。
分割の方法には、現存する遺産を分割することを現物分割、遺産を売却して売却金を分配するという換価分割や、過不足分を他の相続人に対する現金の支払い等で精算するという代償分割という方法があります。
※当事者
遺産分割協議の当事者は、相続人全員です。
相続人と同一の権利義務を有する包括受遺者及び相続分の譲受人、包括遺贈の場合の遺言執行者も当事者となります。
特定受遺者は、遺言の効力発生と同時にその財産を取得するため、遺産分割協議の当事者とはなりません。
行先不明者がいる場合には、不在者財産管理人の選任を家庭裁判所に対して行い、財産管理人を分割協議に参加させる必要があります。
相続開始後認知によって相続人となった者は、既に完了した遺産分割の無効を主張することはできず、 価額による支払のみを求めることとされています(民法910条)。
未成年者が当事者となる場合、親権者が法定代理人として、未成年者を代理します。ただ、法定代理人と未成年者との間で利益相反する場面では、法定代理人は未成年者を代理することができません。この場合、法定代理が不可能な未成年者については、家庭裁判所に対して特別代理人の選任を申し立てる必要があります。
成年後見の場合は、成年後見人が本人の代理人として遺産分割に参加します。
保佐、補助の場合は、本人が遺産分割に参加するものの、保佐人、補助人等から遺産分割の内容について同意を取り付けることが必要です。ただし、成年後見人、保佐人、補助人らも相続資格を有する場合には、本人との間で利益相反が生じることになる場合には、成年後見人が本人を代理することはできす、別に特別代理人の選任が要求されています。保佐、補助の場合も、利益相反の場合には同様の危険が生じるため、原則として、臨時保佐人、臨時補助人の選任が要求されています。
③調停による分割 相続人間で遺産分割の協議が調わないとき、又は、協議をすることができないときは、各相続人は、その分割を相手方の住所地又は当事者が合意で定める地を管轄する家庭裁判所に請求することができます。
④審判による分割
遺産分割の協議が調わなかったり、協議ができないときは、各相続人は家庭裁判所に対して、遺産分割の審判を請求することができます。