遺産分割の対象となる遺産の範囲は、相続性を有する一切の権利義務(一身専属的な権利義務以外のもの)です。
遺産の調査としては、不動産、動産関係、預貯金、債権、有価証券、債務といったところを調査します。
ここでは以下の3点に絞ってご説明します。
預金は、当然分割され、各相続人がその相続分に応じて権利を承継する、と考えられています。
しかし、銀行実務では、相続人の1人がその相続分だけ払戻しを請求しても、通常これに応じません。銀行側としては、払戻請求者が真実の権利者でなかった場合に相続人間の紛争に巻き込まれるリスクがあるからです。
そのため払戻の際には、銀行側が、相続資格の証明書類(戸籍)に加え、相続人全員による遺産分割協議書あるいは払戻同意書と各相続人の印鑑証明書の提出を求めることが一般的です。
生命保険については、保険契約により発生するため相続財産には含まれないのは通常です。相続税法上は、みなし相続財産として遺産として扱われますので注意が必要です。 ただし、生命保険金の受取人が、抽象的に相続人と指定されていた場合には遺産分割協議が必要な場合もありますし、具体的な相続人と指定されていた場合には特別受益として考慮されることがあります。
債務については、その相続分に応じて各共同相続人が承継するされています。相続人全員で誰がどれだけ債務を負担するか協議することは相続人の間では有効ですが、債権者に対してはその協議内容を主張できず、法定相続分どおり承継することになります。