1 相続人の不存在とは、相続人の存否が明らかでない場合をいいます。
 相続人の存在が明らかな場合には、不在者の財産管理・失踪宣告の手続きになります。
 手続きは、以下のような流れになります。

①被相続人の死亡(相続開始)

②相続人不存在:相続財産法人の成立(特段の手続不要)

③家庭裁判所による相続財産管理人選任の公告
 2ヶ月 相続人の出現をまつ

④相続財産管理人による債権申出の公告
 2ヶ月以上

⑤家庭裁判所による権利主張催告の公告
 6ヶ月以上=相続人不存在確定

⑥相続人として権利を主張する者がないとき
 3ヶ月以内

⑦特別縁故者への財産分与の申立および審判

⑧特別縁故者へ財産分与
 他の共有者に帰属
 国庫帰属

 

2 相続人の捜索手続

①公告
 相続人不存在の際に必要とされる公告は3回あります。
 第1回は家庭裁判所のなす相続財産管理人選任の公告です。
 第2回は相続財産管理人のなす相続債権者および受遺者に対する請求申出催告の公告です
 第3回は、家庭裁判所が、相続人がいる場合にその権利を主張すべき旨公告を行います。
 第1回、第2回の公告によっても、相続人のいることが明らかでないときは、第3回目の公告がなされます。
 第3回の公告は、特別縁故者への財産分与及び国庫帰属の対象となるべき財産の確定を目的とするものであるため、清算の結果残余財産が全くなくなった場合は、公告は行なわれません。
 不明とされた相続人が権利を主張するためには、必ず公告期間内に相続人である旨の申出をする必要があり、期間内に申出を行わない者は失権します。

②公告期間の満了
 公告期間内に相続権の主張がない場合は、相続人の不存在が確定します。

 

3 相続財産管理人

①選任手続
 相続人の存在が不明な場合、相続財産法人が成立し、家庭裁判所は、原則として法人の代表者となる相続財産管理人を選任することになります。

②時効の停止
 相続財産管理人が選任された場合、その選任の時点から6か月間は相続財産に対する時効は完成せず、時効は停止します。

③管理人の権限
 財産管理人は相続財産に関して、保存行為、管理行為を行う権限を有し、その権限を超える行為は、監督家庭裁判所の許可を得てすることができます。
 相続財産管理人は、その権限の行使に関し、善良な管理者の注意を以て相続財産を管理する義務を負いますし、許可が必要なのに許可を得ないでしなした場合は無権代理人の責任を負います。

④管理人のなすべきこと
 相続財産管理人は、就任後できるだけ早く記録を閲覧して、事件の概要を把握し、相続財産の現状を調査します。そのうえで、財産目録を作成して家庭裁判所に提出しなければなりません。
 相続財産管理人は、相続債権者又は受遺者の請求があるときは、相続財産の状況を報告しなければなりません。
 相続財産管理人は、すべての相続債権者及び受遺者に対して、債権申出の公告をする必要があり、申出期間経過後に、限定承認における清算手続に準じて清算を実行します。

 

4 特別縁故者に対する財産分与
 特別縁故者とは、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者、その他被相続人と特別の縁故があった者が例示的に規定されています。

①申立手続
 申立権者は、特別縁故者です。
 財産分与の請求は、相続人捜索の公告期間満了後3か月以内に行わなければならず、期間経過後の申立ては認められていません。

②財産分与の審判
 財産分与の審判の確定によって、特別縁故者は相続財産を取得します。

 

5 相続財産の国庫帰属
 相続人に対する権利主張の催告の期間満了により、相続人の不存在が確定した後、三か月内に財産分与を申立てる特別縁故者があれば、財産分与の審判を行ないます。
 その後なお相続財産が残存している場合には、その相続財産は国庫に帰属します。
 

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